The Japanese Association for Humanistic Psychology

ワークショップ04

「多面的体験支援アプローチ」

講師:田嶌誠一

 

事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!!
織田裕二扮する青島刑事が叫ぶ、『踊る大捜査線』という映画の中の名シーンである。
それをまねて言えば、「問題は面接室の中で起きてるんじゃない!生活の中で起きてるんだ!!」と訴えたくなることが多い。
生活の中で起きていることなら、定期的面接によるよりも、生活の中で関わるという形で援助するということがしばしば大変効果的であり、またごく自然なことであるというのが私のかねてからの主張である。
それを私は「その場で関わる心理臨床」と呼んでいる。
そして、「その場で関わる心理臨床」を中心として、その人に「今どのような体験が必要か」、「今後どのような体験を積んでいくことが必要か」ということを見立て、そのような体験ができるように援助していくアプローチが「多面的体験支援アプローチ」である。
この「多面的体験支援アプローチ」では、「体験の蓄積」・「体験の整理」・「体験の活用」がキーワードである。
今回は、不登校・発達障害・暴力問題等の問題へのそのような視点からの臨床実践について、私の経験からお話することにしたい。
ただし、時間の都合で以上のすべてに触れることができないこともありうることをご了承いただきたい。

講師紹介

略歴・研究テーマ

九州大学名誉教授。
九州大学教育学部(心理学専攻)で心理学を学び、広島修道大学、京都教育大学等を経て九州大学大学院人間環境学研究院教授(臨床心理学)、2015年3月に定年退職。
博士(教育心理学)。
臨床心理士。全国児童福祉安全委員会連絡協議会顧問、日本ファミリーホーム協議会顧問。
NPO法人九州大学こころとそだちの相談室「こだち」顧問。
 専門は臨床心理学(心理療法・カウンセリング)で、「現場のニーズ汲み取る、引き出す、応える」を目標として、さまざまな臨床活動を展開している。
「壺イメ-ジ法」と称するユニ-クなイメ-ジ療法を考案し、さらには不登校やいじめをはじめ青少年のさまざまな心の問題の相談活動や居場所づくりとネットワークを活用した心理的援助を行っている。
非常勤でスク-ルカウンセラ-として中学校にも勤務経験がある。
また、児童養護施設の子どもたちにも関わっており、その経験から施設内暴力の深刻さに気づき、それを解決する取り組みとして児童福祉施設版安全委員会活動を行っている。
最近では、里親やファミリーホームへの支援も行っている。

著書

『現実に介入しつつ心に関わる―展開編』(金剛出版)
『その場で関わる心理臨床―多面的体験支援アプローチ』(遠見書房)
『心の営みとしての病むこと―イメージの心理臨床』(岩波書店)
『児童福祉施設における暴力問題の理解と対応―続・現実に介入しつつ心に関わる』(金剛出版)
『現実に介入しつつ心に関わる』(金剛出版)
『不登校―ネットワークを生かした多面的援助の実際』(金剛出版)など

定員50~60名(制限なし)

上記のテーマに関心がある方

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